越前おろしそば(福井県嶺北地方) 約400年前に誕生し、昭和天皇のお言葉から命名された、おろしそば
越前そばの特徴
“蕎麦に大根おろしを乗せて出汁をかけたり(ぶっかけ)、大根おろしに出汁を加えてつけツユにして食べる(つけそば)など、大根おろしを利用することから、「おろしそば」とも呼ばれる。”
越前そばの歴史
“いまから約400年前。
世は戦国時代。関ヶ原の戦いで勝利した徳川家康は、翌年1601年に次男である結城秀康に越前の国(現在の福井県嶺北地方)を与えた。その際、領内の要所の守りとして府中(現在の福井県武生市)の領主になったのが、結城秀康の重臣、本多富正である。
彼は代々松平家(徳川家)に仕えてきた本多家のもので、武功練達の名門の家柄でもあった。しかし民政にも優れていた彼は、府中を流れる日野川の治水工事や、北陸道の整備、さらには地場産業の発展にも力をいれ、府中の町を栄えさえ、明治維新までの約260年間もの間府中は本多家によって治められたのだった。
そしてこの本多富正こそ、ふくいに『おろしそば』を定着させた人物の1人なのだ。”
“それは、昭和22年10月に福井に巡幸された昭和天皇のお言葉から端を発するのだ。
太平洋戦争が終結して二年が経ち、北陸の民情の御視察と石川で開催される第二回国民体育大会秋期大会にご出席のため来福された。
まず、福井県嶺南地方(若狭)の各地を巡幸された後、嶺北地方に入られ、その宿泊先で出されたご献立にうるしやという武生にあるそば屋の『おろしそば』が繰り入れられた。
陛下は葱や辛いものがお嫌いということで、ダシ汁や大根おろしには大変苦心したという。しかしその甲斐あってか、陛下は何と2杯もおろしそばを召し上がられたのだ。
通常、お代わりを所望されるということはかつてないことで、よほどお気に召されたのだろう。
ましてや陛下に出されたであろうご献立には、数多くのお料理があっただろうし、どれも宮内庁が試食し厳選された逸品ばかりの中で、2杯所望されたというのは、私達がお代わりをするのとは全く違うものだろう。
そしてこの北陸巡幸のあとも、そばの話が出ると陛下は後々までこう言われたという。
『あの越前のそばは大変おいしかった……。』
侍従の方からこの話を福井県の関係者が伝え聞き、『越前そば』という命名に至ったと言う。
その後、陛下が来福された際には必ず『越前そば』がご献立に繰り入れられて、召し上がられた。
昭和天皇も愛されたおろしそばは『越前そば』という名称となって今もなお生き続けている。”
越前田舎おろしそば(北陸道【下り】・北鯖江PA) posted by (C)jyakou
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